祝! ABC予想の証明査読通過!

投稿日: 投稿者: Shiki

概要

長文になりそうなので記事の概要を箇条書きで。 ・ABC予想の証明が査読通過しました! ・何だか凄い事みたいだけど、ABC予想って問題自体が難しい! ・問題の感覚を掴むために実際に数値計算してみました!

本文

2020年4月3日に望月教授のABC予想の証明が査読通過のニュースが報道されましたね。コロナウイルスで悲観的なムードが漂う中での明るいニュースでした。

長くじれったい日々だったかと思いますが、 望月教授、査読通過おめでとうございます!

ABC予想って何? どう凄いの? という事に関してはお馴染みWikipedia先生が詳しいのでそちらをご覧ください。 ABC予想(Wikipedia)

今回改めて問題そのものを読んでみましたが、いまいちピンを来ませんでした。問題の理解自体はできたのですが、直感的に予想が正しそうかどうかという感覚が掴めなかったと言ったら伝わるでしょうか。

と言うのも、数学の問題って証明の難しさはさておき、問題の意味が簡単であれば正しそうか間違ってそうかって感覚があるものなんですが、ABC予想は問題の意味が難しくて、正しそうという実感が得られませんでした。

その理由は明らかで、私の場合、これまでrad(ABC)なんて計算した経験がないからなんです。

それに気づき、幸か不幸か(まあ、不幸なんですが)新型コロナウイルス( COVID-19)のおかげで時間が余っていたので実際に計算してみることにしてみました。 しかし、手計算するには大変すぎます。手計算でできるのはせいぜい(1,8,9)の組合せくらいです。 なので、pythonを使って数値計算してみることにしました。 その結果が↓になります。

● C < 1,000、ε<0.1 の場合

C<1,000の間に約15万組の互いに素な組合せがあるのですが、その内で条件に合う組はたった14個! C > rad(ABC)^(1.1)となる例が非常に少ない事が分かります。

ではCの上限を上げてみるとどうなるか ●C<10,000、ε=0.1の場合

C<10,000の間に約1500万の組合せがあり、その内でヒットするのはたった50組! Cの上限を10倍(組合せは100倍)にして見つかる数はだいたい3.5倍と、出現頻度が下がりました。 出現頻度が低く、桁が上がるほどに出現頻度が下がる。なるほど、であれば、この条件の組合せは有限個かもしれないな。 と、こうしてABC予想が正しそうという実感を得ることができました。

そうして、こういう感覚を掴むと(ε>0)って条件って要るの? という疑問が浮かび上がります。 果たして、これが面白いことにε=0の時、つまりC > rad(ABC)の場合、組合せは無限に存在することが分かっているそうです。なので、εが限りなく0に近い値だとしてもεが0より大きいということが有限個である必須条件になっています。興味深いですね~。

ちなみに各εの場合での組合せの数はWikipedia先生の記事でも見ることができます。 ABC予想-コンピューティングによる成果(Wikipedia)

今回のお試し計算はここまでにしておきますが、実際に計算して見ることで、理解が深まり、いっそう興味が出てきました。ABC予想について、いつかサイエンスカフェで発表してみたいです。

動画のプログラム

本記事の動画のプログラムが欲しい! という方向けに、有料ではありますがダウンロードできるようにしました。 実際に動かしてみたいという方はぜひご購入下さい。

simpay id=”644″ <プログラム概要> 言語:Python3 使用モジュール:numpy, cv2 実行内容:ABC予想に適合する組合せの探索と結果動画 精度:Float型(倍精度浮動小数点数) 変更パラメータデフォルト値:  Cの上限(厳密にはその-1) 1000  ε 0.1  結果リストの最大表示数10  動画の長さ調節用パラメータ1,1,0.5

<利用規約> *ソースコードの著作権は「サイエンスカフェ えむしーじじょう」に帰属します。

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  • サポートデスクは購入から2週間対応いたします。 ご不明な点、改良したい箇所等ありましたらお気軽にお問合せ下さい。 *結果の正しさに関して、可能な範囲で確認を行っていますが、結果が必ずしも正しいことを保証しません。計算結果が誤っていた場合の責任は負いかねますので予めご了承下さい(例えばアルゴリズムが正しくてもFloat型の計算誤差によって誤る可能性があります)
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