ノーベル賞2018年(物理学賞編)

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今年も続々とノーベル賞が決まりましたね。 日本人としては、本庶先生がノーベル生理学賞を受賞するという嬉しいニュースがやってきました。サイエンスカフェではノーベル賞の公式HP からノーベルな発明を紹介したいと思います。

まずはノーベル物理学賞ですね。

昨年は重力派の検出でしたが、今年は光を使った革新的発明ということで、米国のアシュキン博士による光ピンセットの発明と、ムーロウ博士とストリックランド博士による短波長の高強度レーザーを発生方法の3名に送られました。両方とも光を用いて細胞や生体分子を操作したり細胞を加工する発明という点で共通しています。 https://www.nobelprize.org/prizes/physics/2018/prize-announcement/

光ピンセットとは

光ピンセットは、集光したレーザーを微粒子(例えばガラス球)に照射したとき、微粒子の屈折率の違いから生じる光の運動量変化で生じる放射圧力で、微粒子を補足する技術です。こんなSFチックな技術がなんと今から30年以上前に誕生しました。

計測例としては、アクチンとミオシンやキネシンなどの1分子計測分野で良く活用されておりますが、生体1分子に限らず筋肉のような細胞にも適用されており生体分子の力計測で幅広く活用されています。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/csf/advpub/0/advpub_0_0611150004/_article/-char/ja/

実は私の大学4年生の卒研テーマが光ピンセットを用いた実験だったため懐かしく光ピンセット実験キットが欲しくなりました。 https://www.thorlabs.co.jp/newgrouppage9.cfm?objectgroup_id=6966

短波長の高強度レーザー発生法

ムーロウ博士とストリックランド博士の両博士が開発したレーザー発生法はチャーパルス増幅(CPA)と呼ばれ、レーザーパルスを延伸してピークパワーを減少させる(図の2)。その後、振幅を増幅し(図の3)パルスを圧縮する(下図4)ことで、短波長かつ高強度なレーザー光を得ることが可能となりました。図を見てもなかなか難しい原理です。開発の背景としては、レーザー強度を上げるために増幅器を上げたけど、それだと増幅器や試料が壊れてしまうので、このような工夫をしたそうです。

従来のナノ秒レーザーを細胞表面に照射すると熱で大きく破壊されてしまいましたが、短波長の高強度レーザー(フェムト秒)では細胞表面を壊すことなく微小加工することが可能となりました(下図上)。この技術は、レーシックなどの視力矯正手術(100万件以上)に活用されています。

1985年のCPA開発からレーザー強度は凄まじい勢いで上昇し本研究が物理学の発展に大きなインパクトを与えたことがわかりますね(下図)。

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